前立腺がん摘出の日記 2021年 4月24日(術後304日)

いつのまにか、癌が発見されてから1年が過ぎ、昨年の今頃はどの手術にすべきかを悩んでいる頃だった。コロナが日本でも猛威の片鱗を見せつけ、ダイアモンドプリンセスの事件や、緊急事態宣言などと慌ただしさと不安が蔓延し始めた頃だった。

 

私は昨年の9月以降も体は何となく重苦しく、日によっては生気が抜けたような感覚に

体力と気力の委縮を感じていた。コロナの蔓延で勤務先は休業手当で何とか補填して食いつないでいる状況で、先への目処が立たない。私は役員をしていたが、田舎の中小企業の個人商店なので、経営者は年収の高い社員を切り捨て、若い社員だけを残す事になり、私も遠回しのリタイアを伝えられた。

 

60歳まで後半年であったが、早目の定年退職を行い、ゆっくりと体を休める事にした。

大学を出てから、長期の休みは今回の1週間の入院ぐらいで、パワハラセクハラの言葉が無い時代だったので、月200時間残業や休日出勤が当たり前の時代だった。いつしか、体も心も勤続疲労が起こっていたようだ。

 

年明けの1月5日から改めて、顧問として安い給料ではあるが再雇用という事になっていたが、世の中はさらに混とんとして、2週間で退職となった。保険証の切り替えなどで

混乱を起こしただけだった。

 

ここで、完全なリタイアとなり今に至るのだが、会社を離れる事で精神的に楽になった。無職なので贅沢は出来ない。自然と粗食になった。楽しみは週に2階の近郊の温泉に妻と二人で行っている。お酒も飲まなくなった。週に1・2回、ビール一缶程度で結構酔っぱらうというか、飲んだ翌日は肝臓が元気で何ともないが、アルコールを分解する事でやや疲労感がある事を感じられ、飲む気がなくなってきた。

 

精神的に楽になる事で、脳の神経が安らぐのか、3月頃から性欲が出てきた。薬が無くても十分にできるように回復された。とはいっても高度は9割ぐらいか。温泉効果なのか、痛めていた箇所が時間軸の新しい順に良くなっている。

 

術後の回復効果を上げるには、精神的な安定は大事な事と感じたが、年齢や状況によっては束縛から解放されるわけにはいかない場合もあるだろう。ただ、時間をかけて、ゆっくりと体を休めながら進めれば、若い方なら必ず、元に戻せると強く感じている。

希望は捨てずに。

今までは、家族の為に、会社を優先して心も体も鞭を打ってきたが、引退してみると、今まで入り入りな事に神経が行き渡っていなかった事に気づかされた。妻に対して、子供たちに対して、ペットに対して、家に対して、親に対して・・・。

 

今回の癌とコロナと退職は、私を人生の終着点に向かう最終列車に乗り換えをさせてくれた。人として優しく、子供たちに次ぎを任せて、新しい旅に出かけます。 

 

前立腺癌は、これからも増加するようです。

もし、同じ境遇になられた方がこのブログを見て、少しでも役に立てることが出来たら、ちょっとでも元気や勇気を分かち合えることが出来たら・・幸いです。(終)